千年会議 / 詩
マスカラを付けた極楽鳥
ブーツを履いたかぶと虫
サテンのドレスをまとった薔薇
ネクタイをしめたイルカに
十字架を背負った人間
皆で円卓を囲んだら 千年会議が 始まります
『風の囁(ささや)きは 霊木に託しました
あなたは もう卵には戻れません』
極楽鳥は 言いました
『光の在り処(ありか)は 虹に訊きました
あなたは 宮殿の王子様ではありません』
薔薇は 言いました
『炎の揺らぎは 星影に移しました
あなたは 暗黒大陸を散歩しましたか』
豹は 言いました
『砂の未来は 太陽が識(し)っています
あなたは 悪魔と天使のチェスを見ましたか』
かぶと虫は 言いました
『水の鼓動は 夜霧が隠しています』
イルカが 言いました
『ところで あなたは 何故 手ぶらなのですか』
人間の背負う十字架に 罪だけが 見当たりません
『千年経って 葦(あし)の舟が編めたなら また逢おう』
人間は 言いました
そうして生き物たちは 散ったのです
十字架には 遺言はありません
けれども 人間が
贖罪(しょくざい)のパンを 食べ尽くし
悔悟(かいご)のワインを 飲み干したなら
新しい千年会議が 始まるのです
ブログ人気ランキングに参加しています。
創作のモチベーション維持のため
↓どうぞ応援クリックお願いします!



コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://nuin.blog.fc2.com/tb.php/394-1c402f98