演説おぢさん、どこ行った?
今年の夏は酷々暑でしたが、冷房ナシでも自室はギリ40度未満になりました。
このまま暑さのピークを迎えてくれい・・・。
さて、大分前の話ですけれど、ほんの一時期、うちの近所に出没してた『演説おぢさん』の事を思い出しましてw
自宅にて、ある時期から毎晩、誰かが叫んでるような声が聞こえてくるようになりました。
酔っ払いが喧嘩してるのかなあ、治安そんなに悪くなったのかなあ? と怯えつつ耳を済ませてみると、一人の声のよう。はて、一人で怒鳴ってる?
南のベランダの方角から聞こえてくるようなのでそっと出て覗いてみると・・・。
家々の陰から道路(坂道です)が少し見えますが、中年男の様な人影が坂道の真ん中に立ち、坂の下に向かって、拳を振り上げつつ「あめりかは~」「日本国は~」なんてばうばう吠えて演説してる。そこしか聞き取れず、あとは言葉にならずにごにょごにょ。
誰もいないのに、ああ~ハイハイ、と聴衆をいさめるように掌を振る仕草も。
で、ひとしきりそれを繰り返し、すぐ横のプレハブ小屋に入った。と? 一秒後にまた出て来て「日本国は~」「あめりかは~」とばうばう。
・・・妄想に取り憑かれてる頭のおかしい人やっ!
背筋が寒くなりました。
坂道の両側の民家の人たち、さぞ怖かったのではないかと。しかし誰も通報しないようで、毎晩のように独演会は続いてました。
そしてある晩の事。
駅から自宅までちゃりんこで通勤してるのですが、夜11時頃だったか、家まであと一息、道を曲がって加速してその坂道を登ろうとしたら、何とおぢさんが正面に立ってて。
しまった、忘れてた! 何しろおかしい人だし、「わしの演説の邪魔するなぁ!」などと跳びかかられてブッ殺される! と思ったのですが、逆にスピード上げて突っ切ろう! と覚悟決めました。
加速しておぢさんの横を通り過ぎたのですが、おぢさん本人は―――。
・・・私をよけて道のふちっこに寄っちゃって背を向け、うつむいて、それでもどぶにむかって小声で「日本国は~」なんてつぶやいてる。
思わず爆笑しそうになりました。
そうか~、おかしい人=必ずしも他人に危害を加える人とは限らないんだ。
自分でも訳の解からない裡なるエネルギーに突き動かされて演説ブチたかっただけで、気が小さいから誰もいない夜に動いてたのか~。
ごめんねおぢさん、邪魔しちゃって。でも私も残業でぐだぐだに疲れてて、うつむいて坂道登ろうと加速してて気づくのが遅れちゃって。悪気は無かったんだヨ。
そしていつしか時は過ぎ、演説は聞こえなくなり―――。
小屋は無くなり畑になり、さらに今は建売住宅になって別の方が棲んでおられます。
先日、家人と演説おぢさんの思い出話をしたところ、何と間接的な知り合いで。
兄弟で小屋に棲んでたそうで、2人とも大変な英才だとか。
なるほど、頭良すぎるとああなっちゃうんだ・・・
ちなみにそのプレハブ小屋、一度も明かりが付いてるのを見た事がありません。懐中電灯も、ろうそくさえも。
本当に電気も通らないあんな小屋で暮らしてたんだろうか?
不気味さも感じつつ少し笑える、懐かしい昔話でした。
お~い、演説おぢさん、今はどこで何をしてるの~?
お~い、おお~い。
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